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◆鏡面世界

概要


 鏡面宇宙とも。鏡合わせのように存在している、よく似通った二つの世界。
 広大な宇宙の中で、全く同じ空間座標上に、全く同じ形状をした地球が、全く同じ動きをしているというだけではなく、発生した生物種や人類の辿った歴史など、仔細に至るまで極めて精緻に類似している。

 どちらが表でどちらが裏というわけでもないが、仮に我々のよく知る地球が『表側』とするならば、物語の主な舞台は『裏側』ということになる。
 『裏側』の世界には亜人種が存在しているということが差異としては大きい。……というか、それ以外に主だった差異は見受けられない。
 もちろん細かい部分はかなり違うのだが、基本的に『表側』に存在するものは殆ど『裏側』にも同じ、もしくは微妙に婉曲なルートを辿って現れており(例えばドイツには『ベートーヴェン』という作曲家が存在し、ほぼ同じメロディの楽曲『第九』を書いており、ほぼ同じ内容の『歓喜の唱歌』が歌詞として付けられている)、逆に『裏側』にあるものは『表側』にもあるとは限らないものが多い。
 この奇妙に作為的な事象については、まだ世界間転移が実現してから日が浅く、調査が不十分なこともあり、説明するに充分な理論は提唱されていない。
 現状では仮に、『虚数領域が共有されているため、多くのものが知ることになる知識・情報であればあるほど、集合的無意識に影響を受け、自然とそうなるよう導かれるのではないか』という説が有力である。

 いわゆる平行宇宙理論で語られるパラレル・ワールドと似ているが、可能性分岐による無数の別世界の一つというわけではない。(そもそも平行世界同士で干渉し合うことはできない。干渉できるのなら、それはそこまで含めて一つの世界である)
 鏡面世界同士は空間的に隔絶されているわけではなく、お互いに量子的重合状態にあり、一つの空間を共有している。触れられないだけで、常にそこに隣合って存在しているのである。
 これはブレーン宇宙論におけるDブレーン(膜状宇宙)の、量子状態における『表と裏』のような二つの相として説明される。二つの世界にとっての虚数領域は共通のものと予想されており、ダークマターとして説明付けられてきた宇宙の不可解な空間歪曲についても説明がつけられる可能性がある。

 自然な状態であれば二つの世界は互いに不可侵であり、干渉できないのだが、条件を満たすことで世界間転移が可能となる。
 膨大な電力を消費する上、予め逆側の世界に『マーカー』となる虚数振動発振器のようなものを送り込まなければならないが、エーテルドライブによって発生させた電磁場と重力場によって遮断された空間中にマイクロブラックホールを生成し、ホーキング輻射によって失われる分のエネルギーを正確に補いながら状態を維持、円周加速させながら重力子の多重層を形成し(※これをやらないとエネルギーが足りない)、その状態で高密度プラズマをコイルに通してエミッターから放射することによって『転送バブル』と呼ばれる泡状の力場を展開、予め転送しておいたマーカーと共振する波長の虚数振動を発振することによってその座標まで超空間(ハイパースペース)のチューブが通り、一瞬にして相互転送が完了する。
 帰還時は再び向こう側に送った『マーカー』周辺にいれば、何もない空間を転送することで帰ってくることができる。

 最初に『マーカー』を送り込む際には、ラスティの持つ鐫界器、モーントリヒトによって鏡面世界間を移動した。これが無ければ転移は不可能だっただろう。


詳細


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