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◆虚数領域

概要


 虚数質量物質(タキオン粒子)で構成される仮想的な領域。英文書類などでは『I-Area』と表記される事が多い。

 正確には実数領域と空間的に離れている訳ではなく、お互いに干渉し合えないだけで、実数物質(ターディオン粒子)と虚数物質は同一の空間上に存在している。故に『仮想的な』領域と形容される。
 この領域における物理的な振る舞いなどを研究する学問が虚数物理学である。

 虚数質量を持つタキオン粒子は、相対性理論上、光速以上の速度で動きまわり、減速にエネルギーを必要とする。実数質量を持つ物質とは通常は一切相互干渉できない。

 『意識』を持つ生物のおそらく全てが持つ共通の遺伝子であるSmp-0-DNAが発現する時、生合成されるある種の高分子蛋白質が脳内のニューラル・ネットワークに微弱な相互干渉を起こし、体内のATP(アデノシン三リン酸)を消費してほんの僅かな重力相互作用の振動を起こす。
 空間的な歪曲である重力相互作用は、四つの基本相互作用のうちで唯一、Dブレーン(膜状宇宙)の外側にまで影響を及ぼす。一つだけ作用する力が小さく見えるのはそのためである。そしてその際の空間歪曲は、虚数質量体にも同様に影響するのである。
 混然とした虚数の波は、この『虚数振動』に対して様々な反応を返す(虚数共振と言われる)。恐らく我々が『実数』の側にいる以上は類推しようもなかった物理法則によって、あちらからも空間歪曲を始めとした相互作用を発生させるのである。

 亜人種の用いる『魔法』とは、これによって発生する現象である。詳しくは別項を参照。

 また、ニューラル・ネットワークとは飽くまでも電気的信号の集積であるため、虚数物理学の発展につれて、これらの現象を人為的に機械再現した装置が研究・開発されていった。これを『エーテルドライブ・ギミック』もしくは単に『エーテルドライブ』と言い、そのための専用パーツ(意識の代用となる結晶構造体)を『エーテルスフィア』と言う。


関連用語


◆アストラル体

 意識体。神智学・西洋オカルティズムで用いられた古い言葉で『星幽体』を表す。
 前提知識として、『意識』のあるなしに関わらず、生物は『脳』が作用していれば一切変わりなく思考し、行動することができる。故に、傍から見て特定人物の『意識』があるかどうかは判別できない。この『意識』が無いが変わりなく動き続けている者のことを『哲学的ゾンビ』と言う。
 これはその概念で言う『意識』のことである。すなわち我々が見たり、触ったりした情報を受け取った『脳』が演算・処理した情報を受け取って感じている『精神』のようなもの。
 虚数質量体は時間を遡行しているが、だからといって我々の意識は未来から過去に向かって物事を知覚しているわけではない。あくまでも時間の流れを知覚し、その不可逆性に則って思考しているのは実数物質の脳だからである。
 超光速で飛び回る『意識体』の組成物質に、物理肉体のような『皮』は存在せず、粒子の状態的特性によって寄り集まっている。実数物質で例えるなら、大気中に浮かぶガスの塊か、一つの火球のようなものに近い。
 この『意識体』が、脳の思考・処理した情報を受け取るために発生する間接的な干渉が、前述の虚数振動である。

◆エーテル体

 一般には『魂』と形容される。以前の物理学において光を伝達する媒介物質と言われていたものとは関係ない。神智学・西洋オカルティズムにおける『幽体』の意である。
 恐らく『意識体』を霧散しないよう一つに寄り集め、物理肉体に関連付ける働きを持っていると思われる粒子集合である。
 脳からアストラル体に伝達された虚数振動によって、エーテル体が相応の共振を起こすことで特定の力場が発生し、後述するエーテルエネルギーを発生させたり、それを用いて特定箇所に相互作用を発生させることができる。これが『魔法』の作用機序である。
 もしも何らかの要因でエーテル体が崩壊・消滅した場合、その生命体の物理肉体は死亡する。何らかの不可欠なエネルギー供給が絶たれるためか、この状態で生存できないようなセイフティのような機能が備わっていてアポトーシスが発生するのかは不明である。

◆エーテルエネルギー

 虚数共振によって発生するエネルギー。より古い言葉で『魔力』とも呼ばれる。
 これは決して虚数質量体由来のエネルギーではなく、『量子的ゆらぎ(ゼロ・ポイント・フィールド)』から取り出される空間相転移エネルギーである。
 簡単に説明すると、『真空(無の空間)』とは『真の虚無』ではなく、ただエネルギーが現在基底状態にあるというだけである。セルシウス度で言う『0度』が温度の無い状態(絶対零度)ではないのと同じように、この『無』は一切のエネルギー的損失なしに『+1』と『−1』に分解することができる。これが『量子的なゆらぎ』である。
 この『−1』の状態を仮に『0』と捉えなおしてみると、現在真空とされている空間は『+1』のエネルギーで満ちていることになる。そのエネルギーを取り出して利用してしまうのが『空間相転移』である。
 難点として、このエネルギーを利用しすぎると宇宙全体のエントロピー増大を著しく加速し、宇宙の熱的死を早めるのではないかと言われている。
 とは言え、生き物の虚数共振によって取り出されるこのエネルギーはごくごく微弱なものである。
 故に、魔法行使時、瞬間的に膨大なエネルギーを必要とする場合は『弱い力』や『強い力』の操作を必要とするのである。

◆虚数存在

 まだ魔法の存在が知られず、虚数物理学が発展途上であった、大陸災害以前の21世紀初頭から使われていた用語。アメリカ合衆国などの英語圏では『I-THINGS(アイ・シングス)』、中国語では『化鬼神(ホゥァグィシェン)』と言う。
 実数質量体が無くとも、虚数質量体だけで独立して活動維持が可能な個体の総称。出自や性質はその定義に含めないため、利用価値のある自然物から、人類社会に無視できない害を及ぼすもの、元人間の成れの果てや、無意識の淀みから発生した神のようなものまで千差万別である。
 軍事的利用価値・研究価値を見出されていた時代が長く、各国の研究機関や対処組織はいずれも秘密主義的な性質を持っていた。日本の場合は警視庁に虚数存在対策部という部署が置かれており、直接捜査や現場検証を行う第一課、資料統計や対象の実態解明を行う第二課、国際連絡などを担当する第三課、そして庶務と民間の情報処理を行う第四課に分かれる。
 一般的には実数質量の肉体を持たないため光学的に視認できないが、何らかの要因で適した知覚能力を持つ者ならば、アストラル体を通じて伝達される虚数波動が脳神経にフィードバックを起こし、光学視界に直接情報が合成される形で認識することができる。
 また、特に害意を持つ虚数存在によって引き起こされることが多い現象として、プランク・スケールに圧縮されたポケットのような時空連続体に引きずり込まれるようにして、虚数領域の特定深度の情報が知覚できるようになる。これはまるで実数物理的な世界から虚数の知覚的世界に引きずり込まれたように見えることから『知覚反転』などと呼称されていた。また、一部の高位魔術師はこれを自らの意思で行えたようである。
 『知覚反転』を起こした領域においては、虚数存在を視覚的に認識することができ、それに対して殴りかかったりすることで、見かけ上の物理的干渉が可能である。これは、飽くまでも主観的に見えているのは『知覚』の側の情報であって、虚数存在が実数質量を得られているわけではない。(わざと姿を知覚させているのではなく、虚数存在が人間などに干渉を試みる場合、必然的にこの現象を『起こしてしまう』ものと考えられる)
 また、一部の強力な虚数存在の中には、この『知覚反転』領域での干渉にとどまらず、実数質量体をわざわざ受肉して実数領域に直接現れようとするものもいる。殆どの場合、大気中や海中・地中などにありふれた原子を用いて、基本相互作用の操作によって強引に外殻を形成し、電磁場や重力場で無理矢理動かしているため、中身は(生物としては)出鱈目なものである。形成された肉体は(脱皮後の昆虫のように)細胞分裂を行わないため、傷ついたらそのまま自然治癒しないことが多い。が、たとえその肉体を滅したとしても、虚数領域の本体が無事ならばまた新たに肉体を形成することができる。
 虚数存在の多くは、ただその情報を知覚するだけで知性体の精神を蝕む。姿を見たり、声を聞いたりすることで情報の汚染により発狂したり、度が過ぎると廃人化することもある。

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