◆亜人種
概要
人間に似た、人間ではない種族。
類人猿は含まず、飽くまでも知性体としてのホモ・サピエンスに並ぶ、同程度の進化を遂げた生命体を指す。
人間よりも色鮮やかな髪や瞳を持ち、体の各所に角や鱗、甲殻や飾り羽などが生えていることが多い。
何よりも『魔法』と呼ばれる超常的な現象を起こすことができるのが最大の特徴。これについては別項を参照。
あまりにも変化が多岐に渡り、また世界的に様々なコミュニティに浸透していたことから、歴史的に重大な差別を受けたことはない。ただし人類との区別は常に行われており、現代における男女間の差別程度には、両者が平等だったことはない。イヴル種やミディア種などは、外見的特徴からか、時により重い被差別種族となった。
現在においては、ミディア種を『魔族』と呼んだりしたらレイシストと見做され、人権擁護団体に囲んで棒で叩かれる可能性がある。
以前は『別の様々な動物達から収斂進化(環境が同じならば同じように進化する現象)によって人間型に進化したもの』とされていたが、十九世紀以降の比較分類学の発達により、全て現生人類から、もしくは現生人類共通の祖先から進化した種だと改められた。
この多岐に渡る進化については、人類の祖先が様々な環境的ストレスに晒された結果起こった適応放散によるものと結論付けられている。
生物学的には『人間とは別種とすべきだ』とする論説と『人間の亜種として扱うべきだ』とする論説が混在しており、立ち位置があやふやだが、概ね『亜種』として扱う向きが主流である。
人間と亜人の間では生殖は可能だが、確率が著しく低く、またその子供も遺伝的に混血ではなく『100%亜人』として生まれるためである。
『人間と亜人種と亜人の分類』は、しばしば『オオカミとイヌと犬種』に例えられる。大型犬と小型犬のように、『人為的には』生殖が可能でも『自然には』あまり行われない(生殖隔離)種は分類学上は別種として扱われることが多いが、慣例、また政治的な理由もあって亜種の一つとされている。
地球上における人口比はおおよそ人間60%、亜人種40%。
分類
◆エルーン
亜人種の中でも人口比率が最も多い。やや華奢な体格を持ち、髪の色は様々。
人間と比べて寿命にさほど差はないが、外見的老化は遅い。長耳や獣耳などが多く発現する。
魔法に対する適性が特に高い。
◆ドルファ
長身で筋肉質。一概には言えないが、髪色の彩度が低い傾向にある。
地竜や猛獣を思わせる無骨なツノや、皮膚が硬質化した甲殻などを備えた個体が多い。
体力や膂力に優れる。筋肉の密度が高く細身な者もいる。
◆ヴィント
長身かつ細身な、身軽な種族。髪は淡色か、色鮮やかな者が多数。エルーンとあまり区別がつかない。
細いツノや飾り羽、ヒレ状の耳、退化途中と思われる翼状器官など、鳥類・魚類や飛竜の類を思わせる特徴が多く発現する。
立体的な空間把握能力に優れ、空中機動を得意とする。
◆リリット
非常に身長の低い、小柄な亜人種。髪色は様々。
どれだけ成長しても子供のような個体や、身長が人間の半分ほどにしか成長しない個体などがいる。一種の
ごくごく最近の、特にネット上においては、ロリット族などと呼ばれる。
手先が器用な者が特に多く、動作も機敏。
◆イヴル
体格は人間とさほど変わらないか、やや華奢な程度。色素が不安定なのか、髪や肌は透き通るような白か、もしくは黒と両極端。
悪魔を思わせるようなツノや翼が多く現出するほか、ごく少数ながら青や紫色の肌をした者もいる。
身体能力・魔法力ともに優れた種族。人口比率は少なめ。
◆リーフィ
非常に希少な亜人種。非常に容姿が美しく、色鮮やかな髪や瞳を持つ他、独特の甘い香りを漂わせる。
葉や花弁のような組織が現出するほか、蜜のような味の涙を持つ個体などもおり、植物的な印象を与える。
老い方も独特で、ほとんど一生若い姿を保ち続けた後、寿命が近付くとそのままの姿に亀裂のような皺が全身に刻まれ始め、1〜2ヶ月後に死に至る。寿命は30年〜140年と個体によってまちまち。
気性は穏やかで、知識の蓄積や、思考面に優れる。
◆ミディア
かなり特殊な亜人種。イヴルの一部のように、ほとんどの個体が青や紫色の肌を持つ。髪色は金髪や白髪が多いが、様々。
血などの体液を通じて他者の魔力を吸収することができるため『吸血種』と呼ばれる。ただ吸収できるというだけで味覚に変化はなく、普通は血を不味く感じるため、好んで吸う者はあまりいない。また、最も効率がよいのが血というだけで、他の体液からでも(時間が経過しなければ)魔力を吸える。
この現象は、口腔などの粘膜部分に対象の体液(液体である必要がある)を接触させることにより、『相手』と『自分』との間にある壁を可能な限り薄くすることで虚数抵抗を抜けてエーテルエネルギーのやり取りを行う技術である。高等魔法でも同じことはでき、効率は悪いがキスでも可能。性的交渉については、効率はそこそこなものの時間がかかり、実行のハードルも高いため実用性は無い。
寿命は人間の二倍程度長めで、老化も遅い。容姿が美しい者が多く、力や魔力も高いが、体力はあまり無い。
◆フェアリー
正確には(遺伝子的には)亜人種ではないが、人型の知的生命体であるため一括りにされる。
『妖精種』と特筆される、人の掌に乗る程度の、超小型の種族。ほぼ全ての個体が飛行移動を可能とする。形態的にはエルーンに近く、長い耳を持ち、髪色は鮮やかなものが多い。脳は非常に小さいが高性能で、知能に差異はない。
滅多に見かけない希少な種族であり、多くは国によって制定された特別保護区に纏まって集落を形成する。その希少性ゆえか、多くの地域で『フェアリーを見たらその日は一日幸運になる』などの伝承がある。人権は認められているため、害すれば他の人類同様に罰せられる。
人里においては危険が多すぎるため、もし単独で飛んでいるのを見かけたら保護の必要性を問い、迷子なら一緒に行動してあげるように推奨されている。(小学校の道徳教育などで習う)
他に人里にいるフェアリーは、特定の保護者と同居している場合が多い。
一見すぐに絶滅しそうだが、一度に産まれる子の数が平均3〜5人とやや多めで、遺伝子的に離れていながら他の亜人種とも子を作ることができる(雌性発生)ため、あまり人口が減じることはない。(体格差の問題は残るため、それでも難しいが)
筋力などは人間から見れば無も同然だが、魔力の扱いに優れ、非常に機敏。また、骨格などは頑丈で、この小ささにしては意外と打たれ強い。
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