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冴羽(さえば) 紫音(しおん)

種族
人間
分類
性別
年齢
16歳→26歳
身長
178cm
体重
66kg
出身
日本
髪色
焦茶色
瞳色
鳶色
体力
魔力
攻撃
防御
機動
発想

 日本人の量子物理学者であり、各分野の専門家と軍人たちによって国を跨いで結成されたアルフェイム界第一次共同調査隊の一員。
 転移現象によって行方不明となった冴羽梨緒の弟である。
 父親の冴羽義隆もまた、自発的な世界間転移を行ってそれきり帰還しなかったため、父の古くからの友人であった一宮嗣巳博士に師事して育つ。……とは言え、知識・技術・娯楽など『未知』を教わる以外での、主に日常生活の面では一方的に博士を世話する立場にあったようだが。
 登場時は十六歳。物語に本格的に参入するのはその十年後、二十六歳から。

 常に物腰は丁寧で、理路整然とした学者肌の人間だが、決してお堅いタイプではなく、無邪気で好奇心旺盛な本質をなかなか抑えきれずにいる表情豊かな人物。必要とあらば規則を破り、集団に反目することも厭わないが、その判断は慎重に下す。
 中性的でどこか幼い顔立ちも相俟って、学者らしい威厳はあまり感じられない。子供っぽいからと舐められないようにヒゲでも伸ばしてみるかと思ったこともあったが、顔つきに対して死ぬほど似合わないのでやめたという。
 学者としては若輩者であるため立場は高くないが、幼い時期から父や兄の背中を見て育ち、また一宮博士からの教育を受けたこともあって、充分な知識量のほか洞察力・行動力にも優れる。
 沈思黙考に耽る時、手近なもので三つ編みを作ってはほどく幼い頃からの癖がある。

 常に論理を優先していた兄とは違って、ここぞという時には感情を優先して動く。というのも、理屈と感情を相反するものとは捉えておらず、『人間の感情機能もまた、脳の物理的性質によって演算される、極めて論理的な構造に過ぎない』と考えているからである。

 すべての面で優秀で、行動原理までも人間離れして見えた兄に比べ、凡人である自分に劣等感を抱き続けていたが、それよりも強く彼に憧れていたため歪むことはなかった。
 対する梨緒もまた紫音にコンプレックスを抱いていたということについては知る由もない。
 兄が行方不明になってから、まるで空いた椅子に自分自身が収まろうとするかのように本格的に量子物理学者としての道を歩み始めたのは、自分自身が兄の代わりを果たそうとしたからである。そんなことは誰に要求されたわけでもなかったが、他ならぬ紫音自身が『兄の代わり』を求めていたというのが大きい。


 兄の死の事実を知ってからも、エナに対して複雑な思いはあれど恨みは抱いておらず、むしろ彼女を守って死んでいった兄への尊敬を殊更に強める結果となった。
 すでに充分な時が経って整理がついていたからか、単に理屈で考えた結果かはさて置き、彼という誰よりもリオに近かった立場の者がそのように前向きに接していったことが、エナの心に残り続けていた罪悪感の鎖を緩めていくことに繋がったのは確かである。

 アルフェイム界に渡ってから出会った真輝那のことは、人類の中でも特に愉快な女子として楽しく見ており、また、そのポジティブさやバイタリティ、順応性や肝の据わりっぷりについても一目置いている。歳もそこそこ近い同郷同士ということで、現地に赴いて以降はよく話し相手になっているようだ。


 余談ながら、名の由来となっているシオンの花は『追憶』『君を忘れない』といった花言葉を持つ。
 これは今昔物語にある親をなくした兄弟のうち、兄は『忘れ草』を墓前に供えて悲しみを忘れ、弟は『シオン』を供えて墓参りを続けたという話に由来する。この弟はその後、力持つ『鬼』によって『未来を知る力』を与えられたとされる。



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