聖の先輩。一年ほど前にやってきた転校生である。
　十五歳にしてはやけに老成しており、どこか浮き世離れした雰囲気を持つ。

　冷静沈着な物言いと落ち着いた態度は完成されており、目つきの悪さも相俟って逆に近寄りがたい。そんなミステリアスな感じが気に入ったのか、聖にはやたらと懐かれている。何か色々とやるべき事があるようだが、元来の世話好きな性格もあってか、そんな現状を結構楽しんでいるようだ。
　とは言え、さすがにまだ若く、精神的に未熟な面は多々見られる。行動そのものは滅多に迷わないが、結果論ながら咄嗟の時の判断ミスがやや多い。

　料理好き。あまり食べ物の味にこだわらない聖も、彼の料理と聞けば食べたがるくらいには細かい工夫が凝らされており、ツボを掴んでくる。主に披露する相手は聖と結の二人くらいのものだが、彼女らの反応を見る彼はどこか満足げである。

　もはや慣れきって、当然のように家に泊まりに来ては無防備に眠り、服を脱ぎ散らかして風呂にまで入っていく聖については、特に慌てたり照れたりする様子もなく、強いて言うなら多少呆れ気味に応対している。
　「一応、欲に耐えてはいるんだぞ」と明言してはいるものの、時折提唱される『聖に魅力が無さすぎる説』を否定してあげるためにそう言っているのでは？　という疑念は彼女らの中で払拭されていない。