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人体(死体)を流用した人工意識(虚数領域情報)固着被験体。
エーテルスフィアの技術確立のために実験的に造られ、ターディオン粒子による実数空間から単一領域特殊情報構造体へのアクセスが可能だと証明した。元の身体は亜人種の孤児。
さすがに蘇生が不完全だったのか、記憶は少しロストしている。現在の所、健康や成長、脳機能などに問題なし。
公には鬼籍に入っているため今の名前は別物で、本人も(記憶の欠落からか)別人として生きることを受け入れている。現在の名前での戸籍は無い。
微量ながら重力魔法(Smp-1-DNAによるグラビトン操作)適性を有する。遺伝子改造によるエーテルエネルギー強化を受けているため、知識が無いなりに少しは戦える。はず。自力で虚数エネルギー兵器を起動でき、重力子の空間歪曲を利用した空間走査なども一応扱える。
固定の家は無く、学校に寝泊まりしている。一応、薔薇十字団の宿泊設備を利用する権限が与えられているが、抵抗があるのか利用したがらない。
おかげで、すっかり“学校で飼ってるワンちゃん”のような扱いになっている。
何かと親切にしてくれるライトを兄のように慕っているが、どうもそのせいで周りから犬扱いされているような気もしなくもない。
ルナに一方的にライバル視されており、多々イジメられている。といっても、ルナも本気で敵視しているわけではないので、じゃれ合い程度のもの。わりと愛されているが故にイジメられるタイプ。へこたれない。
服は主に略式の和装。その他の服はほとんど貰い物だが、概ねぶかぶか。
蘇生された死者と言うよりは、謂わば『死体を材料としたホムンクルス』であり、また、虚数物理学が発生して間もない時期の実験体である彼女に、健康や寿命の保証は無い。
そのため、常に“明日には機能停止するかもしれない”という恐怖に晒されている。その抗いようの無い事実については半ば諦観しており、せめてその時まで少しでも幸福に生きられたらいいな、程度に思っているようだ。