◆ヨゼフ・グライフェルト
ドイツ人の理学博士。専門は物理化学と素粒子物理学。
冴羽義隆、一宮嗣巳両名の学生時代の師であり、その後、二人はしばらく彼の個人的な研究室にて研究補佐を務めていた。この時に同じく補佐をしていたのが、後に紫音の母親となるカレンである。
彼自身は紫音が産まれてからしばらく後に実験中の事故で死亡している。
【▼ネタバレ表示▼】
アルフェイム界への自然転移者のひとり。地球では事故死したと思われていたが、事故の際の虚数質量体振動によって転移力場が発生し、魔国ベネギア西部の荒野地帯へと落下していた。
その後間もなく、後の魔王となる魔人貴族ギオルジェダインに拾われ、膨大な理学知識を見込まれて『名誉魔人』として生活すると共に、その腹心として研究を重ねていた。その中でフィーネを実験素材として人為的な魔人化や身体強化術を試行しており、彼自身の肉体強化のほか、フィーネが魔人としても非常に強力な個体に育ったのはこれが原因である。
後にギオルジェダインが魔王に選出された後、『円環』の人脈を辿ってアーデルクラムに渡り、賢王グリンの元で研究を続けていた。
彼個人のものと言える野心は無く、『人類全体をより良い未来に導く』ために行動している。
その行動原理は極めて論理的であるがゆえに、時に他者の感情を蔑ろにするかのような態度に直結する。しかし彼自身に悪意はなく、すべては人類への善意によって行われていることである。
アルフェイム界に渡ったのち、自身を捜してきた冴羽義隆と合流し、一時は情報を共有し合うも、『円環』の活動内容については説得に失敗。やむを得ず神殿地下研究施設に拘束し、説得を諦めずにいたが、王城に軟禁用の部屋を用意している最中に紫音たちが潜入作戦を実行。攻防の中で、確認不足から誤って彼を射殺してしまう。
その後、大西洋上空にて再び相見えた紫音とエナと交戦、撃破され、海中に転落。九死に一生を得るも、逃げ延びた先の自身の研究所跡で待ち受けていた一宮嗣巳の自爆によってとどめを刺された。
完全な無性愛者であり、ほとんど全ての情熱を知識の探求と検証に費やしてきた人物。
自分自身の経験から、思春期という最も知識の吸収効率がよい時期に、一時の人間関係に翻弄されるのは、非常に大きなディスアドバンテージだと考えている。逆に言うと、彼にとってここまでの知識を獲得できたのは、くだらぬ感情に心を惑わされることのない自身の性質によるものなのだろう。