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ある聖霊の日常。 思考送信確認。 ――受信を完了しました。 変換しています… … … 変換を終了しました。 モニターに投影します。 * ――あ、こんにちわ。 あれ…… あぁ、“わ”じゃないですね、ゴメンナサイ。 改めてこんにちは。コスモです。 えっと、話に入る前に軽くあらすじでも話しておきましょうか、産業で。 ……そういえば今北産業ってもうあんまり言われてませんよねー。 っておっと、例に漏れず脱線する所でした。あぶないあぶない。 えー、私、上位聖霊のコスモです。召還される時にちょっとドジって 召還者の寿命を50年ほど削ってしまいました。うふ。 そんなわけで、私の兄を探して寿命を戻して貰ったんですね。 以上の産業です。 ……ええ、はい。 これ戻して貰った後です。 本編とか載せてないのに、わかり難いことこの上ないですねー まぁそんなコトいちいち気にしてちゃーやってられませんて あははははははは あ痛 石とか投げないで ごめ あいたたた ―――さて、では日常のスタートです――― うーん、なんか思考が送信されてるってのも恥ずかしいですねー。 もう衝動的によからぬ妄想とかしちゃいますよーうふふー。 えーと、それはさておいてー、何すればいいんですか? いつも通りに過ごせばいいんですか? ……それ、文章として面白いの? ま、まぁいいです。 「おーいコスモ、またボーっとしちゃってどしたのー?」 おっと、早速出やがりましたねキツネ娘。 リボンで纏めた金の長髪から覗く、赤い耳飾りをつけた狐耳…… だぼだぼのセーターも合わさって、遠巻きに見ても判断つきますねー、この外見。 ええと、はい、これが私を召還したアレです。 どれだろ。 「……? コスモー、聞いてるー?」 おっと、間を開けすぎてしまったようですね。不自然でした。 すいません、こんな自分にナレーションつけるみたいなコトには慣れてないので。 しかし……パラちゃん、蝶結びのやり方を覚える気ないんでしょうか。 もう、リボンが余りまくって……ああいけない、また脱せn 「目覚ましあたーっく!」 「きゃあー!?」 あああ三半規管がまわるーまわるーくーるくるまわるー 天井が近付いて遠ざかって―――あぁなるほど、今まで理解できませんでしたが、垂直に投げられたんですね私 体勢復帰は不可能ですね……って、これ受け止めてくれるんでしょうか? 「きゃう!?」 「うひゃあ!」 ああもう背中痛ぁ! でも背中の下にいる彼女はもっと痛かったような気がします。推測ですけど。 受け止めようとしてたのかどうかは解りませんが、ホント何をしているのやら……。 「うぅ、僕としたことが、落下地点を見誤るとはー……」 「パラちゃん、光源が微妙に南寄りだから、影はあてにならない…… と言うか、影なんかで判断つくのはゲームくらいだよ?」 「えええええマジですかー!?」 ああ試しに言ってみたけどホントにそうだったんだこの人もうだめだ 呆れ顔が治まりませんよホントもうだめだ 「うー…… コスモー、そろそろどいて、重いってばぁ……」 な、なんですとーっ この身長130cm体重25kgと言う近年希に見るちびっこを重いだなんて! さっき軽々と投げてたじゃない! もう……軽く三年間くらい降りてあげませんよコンチクショウ。 「どかないならどかすよー、それ」 「きゃ……!」 うわわわわ、人が上に乗ってるのに立ち上がるとは! バランスが崩れて平衡感覚が……って呑気に解説してる場合じゃ 「はうッ!?」 あいったー、顔面打ったー うう、冷たいですねホント……これはもうインド人もびっくりですよ? 「もうインド人……」 「インド人!? い、インド人に何が起きたのコスモ!?」 あ、思ったことの一部を口に出しちゃいました。 うーん、送信って慣れませんねぇ……とにかく、どうにか誤魔化さなきゃ。 「それは、えっと、時代の流れ……?」 「時代!? え、何、これからはインド人の時代なの!?」 うは、何言ってんだ私。 疑問の強制終了に便利な台詞から持ってきたんだけど、ちょっと選択間違えたみたい。 よくあるじゃないですか、ボタン連打してたら選択肢決定しちゃったり。 まさにそれです。 「インド……ナタラディーン? あー、思考の迷宮がっ」 ……なんか面倒になってきたんで、強引に説明して終わらせましょう そうしましょう。 「インド人を右に!」 「……へ?」 「ゲーメスト(現アルカディア)って雑誌で昔あった誤植。ほんとは、ハンドルを右に。」 「そ、そうなんだ……え、でもそれがどうし」 「つまり、そういうこと」 「いや、あの」 「そういうこと」 「あー、そういうことなんだぁー … … ?」 パラちゃんが単純でよかった。天然記念物ものですねコレ。 もう……どっちが主人だか解りませんよ、これじゃ。 まぁ、私には一般常識等が皆無なんですけど。 どっちもどっちですかねー? 「あ、そうだ コスモ〜」 およ、何か頼むときの声ですね。 のび太がドラえもんに泣きつく兆候の声より解りやすいです。 ……嫌な予感がしますよ私ー。 物語的に見て絶対何かあります。 やば。 「僕ちょっとやることあってさ……だからコスモ、お買い物頼んでいい?」 や っ ぱ り か 「あの……私、人間界でのいろいろって、わけがわかんないんですが……」 オカイモンって何ですかオカイモンって。なんか悪魔の名前みたいですね。 その悪魔を掃滅しに行くんですかね……え、この国って悪魔祓い組織ないの? ともかく、そんなよくわかんないの私はできませんよー。 「あは、よかったー。 じゃあお願いね!」 ち ょ っ と 待 て なんであれが承諾として受け取られてるんですか。 どう考えても説明を求めてる感じでしょー? 「えー、と……私、オカイモンとやらのプロセスをよく理解してないんですけど……」 「あぁ、そっか。 じゃあ はじめてのおつかい ってヤツだね!」 ……なんか今、とっても虚仮にされたような気がしますよ? でも私達は飽くまでも主従関係。 ここでいくらツッコミを入れても、どうせ行かざるを得ないんでしょう。 悪魔と戦う分の体力は残して置かなきゃですね。うん。 「えっとねぇ……まずこのお金を持って、スーパーに行って……あ、スーパーへの地図は描いてあげるから。」 おかね……紙に見えますけど、元の世界で言う金貨やら銀貨やらと同じモノですね。 要するにそれを悪魔の手から守り通せと。 ええー、それならなんで持ってくのー? まぁ、きっと海より深い事情があるんでしょうけれど……。 それにスーパーって……超? 超に行く? なんでしょそれ。 会話から推理するに、建物でしょうか。 うわあっ、どうしよう、想像も付きません! 怖いですよ、内心ガクブルですよ私!? 「そこでね、適当に牛肉とパイナップルと練乳を買ってきて欲しいの。」 え、何を作る気ですか? ……じゃなくて……ええー牛とか狩ってくるのー? 練乳なんてどこで狩れと? どうしようどうしようー……想像以上に私には荷が重いですよ、この仕事。 要するに――建造物と言う概念を超えた何らかの領域に侵入し、 持たされた紙切れを死守しつつ悪魔を倒し、牛とパインと練乳を入手して帰還せよ――ってことでしょうか。 ぅゎぁ、ぅゎぁぁぁぁぁぁ…… む、無理! これは流石に無理!! 辞退しましょうそうしましょう! 「あの……ちょっとそれ、私にはできそうも……」 「あはは、何事も経験よ! ……即答で返されました。 ああもう、こう言う時だけは普通に用法正しいから困る。 うう、パラちゃん……そのキラキラした笑顔は何ですかー? 私がこんなに怖がってるのに……イジメが始まったんですかー? ごしゅじんさまーぁ。 選択肢に“いいえ”がありませーん。 …………。 「お願いね☆」 ……否定不可ですか? ―――いってきます――― どーんどん非日常に傾いてきましたよー。 もうね、どうしましょうこの状況。 ああ、なんでパラちゃんはこんなことを……私のことキライになったんでしょうか? でも私が交わしたのって一生分の契約ですよ? だったら……ああー、これから何されちゃうのかなー。 お姑さんにされるみたいなキツい仕打ちが待ってるのかなー。 あんなことこんなことされていじめられちゃうのかなー。 ……何やら凹んできました。 ああ、そんなこと言ってる内に着きましたねー。 ビル程ではないけど、地図の位置にはでっかい建物がありました。 どの辺がスーパー建造物なんでしょうか? これならラクそうな気が――いやいや、油断は禁物! まずは悪魔の所在を確かめるために遠くから観察です! 結構人が多いですね……いや、これはカムフラージュでしょうか? 建物の前では――なんでしょう、前の世界にはいなかったと思われる 謎の茶色い動物の着ぐるみを纏った人物が風船を配っています。結構かわいいですね。 親子が近付いてきて……おっと、子供の方が着ぐるみを指さしましt 「あー、くまちゃんだー」 ………。 な・な・な・なんですって―――!!? あの人畜無害そうなのが悪魔だったんですか!? しかもあの子供はちゃん付けで!? まさか、ここらの人間は全て悪魔の仲間ッ!? どどどどどうしましょう、泣きそうになってきちゃいましたよ!? 四面楚歌ですか! 孤立無援ですか! でもこのまま帰ってはおかあさまにいじめられてしまうのですわよ……! ってなんかキャラおかしくなってますね私。深呼吸。すーはーすーはー ゲーホ ゲホ ォェ た、多少むせましたが、これでも私は聖霊族! 半生命体の中でも三番目に強い種族ですよっ! 悪魔の一軍なんて一気に突き崩して見せるわ! そーれ! 「 どーん。 いやー、花火とやらが地上で暴発したらこうなっちゃうんでしょうねー。綺麗だわ。 おっと。 このままじゃ攻略対象が燃えちゃいます。そしたら牛が狩れませんよ、もう。 消火しなきゃいけませんね。 「 ぼしゅーん。 ほーら半閉鎖空間内で酸素を全部魔力と反応させて燃焼させちゃえば火は消えるんですよー あっはーんえらいでしょうふふー さぁ、今のうちに牛狩るぞー、牛の外見は勉強したから知ってますからね! 白と黒のしましまで構成されたでっかい鳥で、お湯をかけると爆発する、それが牛ー! ってあれれー? 鳥じゃなくて馬だったかな……まぁどっちでもいいや、それっぽいのだよそれっぽいの! 黒と白、とでも覚えとけばいいやっ! ―――いよいよ超建造物に侵入です!――― よーし、内部は結構無事ですね。 死体がないところを見ると皆逃げたようですが……手加減したから仕方ないですかねー。 ひょっとしたら、もっと強い悪魔が出てくるかも知れません……。 うん、こう言う時は一気にかき回して一気に任務完了ですよー! さぁ、出てこい牛ッ! ……出てきませんねぇ。 あれー? 牛って魔力使用の痕跡をサーチして時速60kmで突っ込んで来るんじゃなかったっけ? お、そこにあるのは練乳! そしてパイン……の缶詰? うーむ、缶詰でもいいんでしょうか。 でも他に見当たらないし、これでいいんでしょうね。 って、肝心の牛が見つかりませんよ? おっかしいなぁ。 牛ってその辺の花壇に植えてあるものでは…… おや、何やら外が騒がしいじゃないですか。 まさか追手!? うわわわわ、どうしましょ!? と、とにかく物陰からそーっと覗いてみましょう!! えっと、確かこの世界では個人用の移動手段として稀に使われる……クルマですね。 普通のモノと違って黒と白でペイントされ、赤いランプがくるくるくる……ん? 黒と白? ……なーるほど、あれが牛ですねー!! ちゅど―――ん ―――どうにか帰還ですよ――― つ……疲れました……牛って重いんですねー…… あぁ、でも結局途中で落としちゃいましたよ牛。 空飛んでたら。民家に。 ああーどうしましょうどうしましょう。 私、このままじゃおかあさまに食べられてしまいます。 たすけてーみのがしてー。 ドア開けるのも憂鬱ですよ。 このまま逃げようかな、ああでもそしたら契約違反。 ってか既にドアの向こうで物音がしています。 ああヤバい、きっと勘付かれました。 パラちゃんごめんなさいもうしません、いや何をしたのかはわからないけれども。 「コスモー!」 「にゃ!?」 「あ。」 急に視界がズームして、目の前真っ暗。 ……怪しげな術でも使われたんでしょうか。 ――いや違う、開いたドアに顔面強打したみたいです。 もう……なんなんですか、今日は厄日ですかーっ。 「コスモ、ねぇコスモ! 大丈夫!?」 あああ揺すられてます。 がっくがくしてます。 ……肉を柔らかくして食べるつもりでしょうか。 ああもう、なんて怖いんでしょうかお姑さんって。 「……とめさん…って……」 「ちょ、とめさんって誰よ!? しっかりしてコスモーっ!!」 また思ったことの一部を喋ってたみたいです。 送信しようって思っちゃうからダメなんですね。あは。 覚悟完了、そっと目を開けてみます。 ……パラちゃんが泣いてました。 「あ…… よかった、気付いたんだ! もう、心配したんだよ!?」 「え?」 どう言う事でしょうおかあさま。 いや、ちょっと待って下さいよ? なんで私はパラちゃんをおかあさまって呼んでたんでしょう? ……よくわかんなくなってきましたねー。どう思いますか、そこの画面の前の人。 「なんかスーパーでテロがあったとかでさ…… パトカーが吹き飛ばされて民家に突っ込むとか凄いことになってるんだよ。 それでコスモに何かあったらどうしようかって思っちゃって……」 なんと。 心配してくれてたらしいですよ。 よく考えてみると、これは私の戦闘技術を見るためのテストだったのかも? うん、悪魔に単身で向かわせるなんて信頼してる証拠ですよね! よかった! いや、それよりテロですよテロ。 あの後出てきた、本で読んだ“きどーたい”みたいな集団はテロリストだったんでしょうかね? 世の中恐ろしいですね……一見は平和な世の中と言っても、これは油断できませんよ。 落とした牛は誰かが食べたでしょうか。 意外と硬度ありましたね、牛。 あんなのを調理する料理人はやっぱり凄いです。 確か料理人って腕から陽電子砲撃てるんですよね。すごい。 「……? コスモ、どうしたの? どっか痛い?」 「いえ……私は平気です。 ああ、そういえばパインと練乳を入手しました。 牛は、その……ごめんなさい、落としちゃって……」 「いいのいいの、あんな事があれば慌てて落としても無理ないよ! それよりコスモが帰ってきて良かったぁ!」 ……。 抱きしめられました。 何でしょうか、とてもあたたかいです。 この人……やっぱり、とてもいいご主人様なのかも――― 「お肉の代用品なんて、別にいくらでもあるんだから!」 ――え、やっぱり私? 食べられる運命なんですか? うわぁー、お姑さんって怖いもんですよね。 でもお姑さんってなんだっけ。 竜だっけ? いや、それはともかくこのままじゃ食べられちゃいますよ!? 心配してたのはそういうわけかー! 「うぁー、たべないでくださいー……」 「……? ってちょっとコスモ、すごい熱……あ、コスモ! しっかりして、ねぇ!!」 ―――そして――― ……よく考えればおかしいなーとか気付けたと思うわけです。 パラちゃんは普通のキツネ娘ですよ? 私を食べたりする趣味は持ち合わせてませんし、他人を虐めて楽しむ人でもありません。 まぁ、悪魔と戦わせたりしたのは多少買いかぶりすぎだと思うのですが……。 しっかし聖霊って風邪ひくんですねー。初めて知りました。 回復するのは普通より早いみたいだし、明日には治ってるでしょうけどね。 パラちゃんの看病も効いてるのかもしれません。 よーし、この恩に報いるためにも、次こそは牛を持って帰ってきて見せますよー! 七色の体毛で覆われた3メートル弱のドラゴンでしたよね、牛って! がんばります! よーしそこらじゅうに罠しかけちゃうぞうふふー 完。 |