俺達の異世界転生物語がどうにも思ってたのと違う件について

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俺達の異世界転生物語がどうにも思ってたのと違う件について



とこしえに寄せては返す朝と夜の波間に
揺らぎ、降り積もる時の闇は、
綴り遺された轍も、靴跡も、想いも、
すべて攫い、均し、まっさらな白へと還す。

この神なき世に
それでも人が歩むなら、

星辰の砂の上に、
忘れじの花よ舞え。

俺達の異世界転生物語が
どうにも思ってたのと違う件について

(原題『盈虚(えいきょ)の円環、あるいは朔望の終焉』)


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目次

序章 ついえし夢の鳴り渡る


(やが)(つど)うなら、其は(かす)かなる鼓翼。
(いず)(すだ)くなら、此は遙かなる暁鐘(ぎょうしょう)
未来(とき)過去(とき)を呼び、過去(とき)未来(とき)に焦がれ(うた)う。



第一章 其の地、アルフェイム


悲喜と苦楽に満ちたる(さかずき)は、注ぐままに溢れ、ただ接吻(くちづけ)の時を待つ。
一つ落ち、一つ消え、また一つ落ち、そして流れ。
堆積する恩讐は、神に捧ぐ蜜味の猛毒。



第二章 彼の地にて君を待つ


身を(たわ)め放たれた嚆矢(こうし)は、永き曇天を遂に()いて碧落に渡る。
人よ、空を断つ流星(ほし)(かがやき)()よ。
民よ、時を打つ蟇目(ひきめ)(おと)()け。



第三章 吾が地より火は踴る


火焔(ほのお)罪業(つみ)()くならば、其に焚かれぬもまた罪か。
清らなる灰の大地にて、(かばね)の山が、血の河が、風に(ふる)えて誰何(すいか)(こえ)をあげる。
なれば、(ほむら)を越えて立つ、彼の者は誰だ。



第四章 此の地にて人は謌う


天の上に神などなく
地の底に魔などなく
ただ、我らはここに在る。



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